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雲隠九郎役・坂泰斗×加藤役・新垣樽助 最終回直前インタビューを公開!
いよいよ今週、最終回となる第12話「いつも通りクシュクシュとね」が放送!
クライマックスを目前に、雲隠九郎役・坂泰斗さん×加藤役・新垣樽助さんのインタビューを敢行しました。放送前に復習しておくべきポイントとは?
――まずは『アンダーニンジャ』との出会いを教えてください。
坂 原作コミックを初めて読んだのは、出演が決まった後でした。もともと『アイアムアヒーロー』で花沢健吾先生の大ファンになり、過去作も遡って読んでいたんですよ。ただ、本作だけ読むタイミングを逸したままになっていた。出演決定をいい機会だと捉え一気読みしましたね。
新垣 僕はオーディションを受けるにあたって読んだのが最初です。加藤役でオーディションの準備を進めていたのですが、いただいた資料ではどんなキャラクターなのか掴みきれなかったので、購読したんですよ。
――読んだ印象を教えてください。
新垣 面白かったですね。資料として読み始めたはずなのに、気づいたら完全に魅了されていて……。ついつい一気読みしちゃいました。
坂 すごく緊張感のある作品なのに、ところどころでシュールなギャグを入れてくるのがたまらなくいいんですよね。独特な言い回しでクスリと笑わせてくれる、そのセリフのチョイスにも花沢先生らしさを感じました。あと、突飛な作品世界を描いているのにどこかリアリティを感じさせるのも魅力ですよね。動きも物理法則に反さないように描かれていて「忍者だったら実現可能かも」そう思わせてくれる。
新垣 動きに対するリアリティは本当にすごいですよね。猫の動きすらも現実に沿っていて、読みながら「確かにこういう動きするよな」と。そこにたまらなく可愛いさを感じるんですよ。花沢先生、絶対猫飼ってるだろうと思いながら読んでました(笑)。
坂 あと、街の描写のリアルさもすごく印象的でした。原作では背景に実在の風景をトレースしたものが使われていて、その全てにどこか見覚えを感じる。中には場所が特定できる背景も登場して、読んでいてなんだか嬉しくなりました。
――ご自身が演じるキャラクターの第一印象はいかがでしたか?
新垣 加藤は最初まったく掴めないキャラクターという印象でした。原作を読んで唯一分かったのは部下想いだということぐらいですね。
坂 九郎も同じく全然掴めなかったです。僕の持っている人物の“ジャンル”に九郎を当てはめようと思ったのですが、どれもピンとこなかった。せめて表情集をヒントに彼のことを知ろうとしたのですが、描いてある表情にほとんど変化がなくて……(苦笑)。
新垣 加藤の表情集もすごかった。九郎と同じくほぼ全て同じ顔で、その中に一つだけ満面の笑顔があったんですよ。「普段はクールだけど優しい一面もあるのかな?」と思ったのですが、全然そんなことなくて……。
――加藤の笑顔はどこで使われたのでしょうか?
新垣 第6話「地獄の釜の蓋がいま開いたよ」で九郎のアパートを訪れた時ですね。大野さんと話す時に愛想笑いとして満面の笑顔を見せる。なので、その時も心から笑っているわけじゃないんですよ。設定資料に騙された気がしました(笑)。
――掴みどころのないキャラクターをいかに演じたのでしょうか?
坂 オーディションの時はもう「ええいままよ!」という感じで、思ったままにセリフを発していました。その時演じたのは第5話「雲隠は日本で多い苗字ランキング10位以内(嘘)」のおしっこを漏らすシーンだった。何を考えてこんなことをしているのか全然理解できなくて完全に勢いで乗り切りましたね。ただ、演じていくうちに九郎は嘘しか言ってないんじゃないかと考えるようになったんです。なのであえて感情を込めず、常に人を騙すような物言いをするようになりました。
――感情を込めないことで人を騙す物言いができると。
坂 そうですね。感情を込めずに、さも当たり前のことを言うように話す。その上で最後に「そうですよね?」と投げかけられると、つい話を信じてしまうじゃないですか。その感じが常に出るように話しました。アフレコの際は片手をポケットに突っ込み、背筋を張らずセリフを発していましたね。
――新垣さんはどのように加藤を解釈したのでしょうか?
新垣 加藤に掴み所がないのは、彼が意図的に真意を読み取らせないようにしているからだと思ったんですよ。なので、いかに感情を隠すかを主眼に置いて芝居をしていきました。普段はいかに感情を乗せた演技をするかを考えるのですが、今回は真逆でした。準備もこれまでとは違うものになりましたね。
――具体的にはどのような準備をしたのでしょう?
新垣 まずは僕の頭の中にある『アンダーニンジャ』世界の情報から、加藤が知っているものとそうでないものを仕分けしました。その上で、加藤の知らない情報を一度忘れるようにしたんです。そうすることで余計な感情が声に乗るのを避けました。その上で彼がどこに向かおうとしているかだけを考え、その方向だけをまっすぐ見て芝居をしていきました。
――おふたりが演じる九郎と加藤、初対面となったのは第1話「石を投げれば忍者に当たる」でした。
坂 あのシーンには独特のピリッとした空気がありますよね。九郎は反射的に加藤には嘘が通じないことを理解した。だから相手の出方をうかがいながら緊張した面持ちを見せているんですよ。あの緊張も実は演技だったのかもしれないな、とは思っていますが……。
新垣 対する加藤はあの場で九郎がどんな人間かを探ろうとしていた。だから「雲隠一族も落ちたもんだな」なんて挑発的なことを言い、相手の出方を伺うんですよね。あの探り合いは演じる僕らの心持ちとも通じるところがあって。
――新垣さんは当時坂さんを探ろうとしていたと。
新垣 そうですね、これまで坂くんとは何度も一緒にお仕事をしてきましたが、彼が演じるのは爽やかで元気なキャラクターばかりだった。そんな彼が髭面で無愛想なキャラクターをどう演じるのか想像がつかず、探りを入れていた感じはあります。
坂 新垣さんも普段共演する時は優しく包み込んでくれる役を演じられているので、どんな演技でくるのか想像ができなかった。僕もあの時は新垣さんの演技を探りながら演じていました。おかげで僕らの気持ちとキャラクターの気持ちがシンクロし、独特な緊張感を生むことができたと思っています。
――その後も加藤と九郎は度々接触し、関係性も徐々に変化していきました。
新垣 何度も顔を合わせていく中で、お互いがどんな人間かをだんだん理解していった。ただ、お互いの距離が近づくということは全くないんですよね。
坂 両者お互いを全く信用しないままですからね。自分の利害のために手助けすることはあっても、そこには友情や信頼といったものは全くなかった。
新垣 ただ、何度か顔を合わせるうちに最初のような探り合いはなくなっていきました。九郎は加藤のことを詮索しなくなったし、その様子を見た加藤も「こいつからは情報は引き出せない」と思い、任務だと割り切って接するようになりました。
――共演シーンはどのように収録したのでしょうか?
坂 お互いの顔をじっくり見ながらのアフレコでしたね。クールな会話内容なので顔を見ないで話すという手もあった。でも、今回は会話をしている雰囲気を大切にしたいと考えましたから。新垣さんは顔が台本で隠れないように持ち方にも工夫をしてくださり、僕に顔をはっきりと見せてくれたんですよ。改めて素敵な先輩だと思いました。
――印象に残っているシーンを教えてください。
坂 11話「ついに、九郎が刀を握った」でドローン刀を呼び出しているシーンが印象的でした。急に九郎がロボット語で話し始め、それがあまりに長く続く。どう演じるかすごく悩まされました。
――実際にはどのように演じたのでしょう?
坂 多分九郎だったらロボット語で話し始めたことに途中で飽きて、喋り方を変えるんじゃないかと思ったんです。なので途中から片言の外国人調にシフトしてみた。結果、その演技に一発でOKが出たんです。今にして本当にあれでよかったのかと今でもちょっと不安があるというか……(笑)。
新垣 収録を見ながら「あんなにバッチリな演技は他にない」と思っていましたけどね。今作での坂くん演じる九郎は常に完璧で、全体を通してもディレクションが本当に少なかった。
坂 僕自身としてはどう演じていいのか迷うシーンだらけでしたけどね。ただ、迷っているからこそ現場での雑談をそのままに演技するといったことも試せた。それが九郎のゆるい感じにつながったのかもしれないとは思います。
――新垣さんは印象に残っているシーン、いかがですか?
新垣 僕は第7話「オニャニャ、ニャンニャ、ニャニャニャニャンニャ?」で佐々魔さんに尋問され虹郎の股をくぐらされたシーンが印象に残っています。ここまで自分の思うようにことを運んできた加藤が、作中で初めて自分の思惑から外れるシーン。一度負けを認めたかのように振る舞うけど内心は……。その裏のある感じが演じていて気持ちが良かったです。
――あの瞬間の加藤の内心はどういったものだったのでしょう?
新垣 「終わったな、NINも」という感じでしたね。負けを認めたかのように振る舞いながらも内心では相手を蔑んでいる、難しかったけど演じ甲斐があるシーンでした。確固たる信念があるからこそ加藤はあの選択ができた。改めて彼のかっこよさに痺れました。
――お互いが演じるキャラクターの印象も伺えればと思います。
坂 加藤は作中で最もかっこいいキャラクターだと思うんですよ。実力もあり、自分のことをきちんと俯瞰して見れている。そして確固たる信念も持っているんですよね。第二の主人公と言って間違いない。
新垣 信念があるせいで危ない目にも遭うんですけどね(苦笑)。九郎は全く底の見えない男だと感じています。セリフもたくさんあるのに、どんな人間なのかがいまだに見えてこない。余白だらけのキャラクターで、その余白が人を惹きつける。もっと知りたいと思わせますよね。
――主人公なのに余白だらけのキャラクターだと。
坂 そうなんですよ。普通だったら主人公が意思を持って物語を引っ張っていくじゃないですか。でも、『アンダーニンジャ』は主人公が何を目指しているかがわからない。そんな九郎に気づいたら引き込まれてしまうんですよね。
新垣 これを成り立たせてるのが花沢先生の構成力なんだと思います。九郎の目的はわからなくても、周囲のキャラクターが目的のために行動した結果ストーリーは進んでいく。その展開にはご都合主義なところがなく、読んでいて魅了されるんですよ。
坂 誰が重要人物かも全然読めないのも面白さですよね。意外な人が急に重要人物として浮上したりするので、続きが気になって仕方がなくなる。
新垣 気になり方も特殊なんですよね。物語の続きが知りたいというよりも、僕が見てきたものの裏側を教えてほしいと思わせる。その答えを知るために新しいエピソードを見ていたら、また新しい謎を突きつけられしまう……。どんどん物語に引き込まれていくんですよ。
――本作も間も無く最終回が放送されます。どんな気持ちで視聴してほしいですか?
坂 これまでと変わらないフラットな気持ちで作品を見てほしいですね。そこで起こる全てを一度構えずに受け止めてほしい。
――放送前に復習しておくべきポイントがあれば教えてもらいたいです。
新垣 たくさんあるんですけど、何て言ったらネタバレにならずに済むかな……。これまでに登場したすべてのキャラクターを再確認してほしい、とかですかね? 皆さんが忘れているであろう“とある人物”が意外な形で活躍を見せますから。
坂 あそこは本当に驚きますよね、「あの人、ここで出てくるの!」と。皆さんにも是非味わってほしいです。
――最終回のキーパーソンとなりそうな人物として、山田美月さんもいますね。
新垣 彼女は美人で、そこに内田彩さんの演技が合わさることですごく魅力的なキャラクターに仕上がっています。でもやってることはぶっ飛んでいてすごく不気味なんですよ。
坂 可愛いからこそ不気味という感じがしませんか? あれだけすごいことをやっても外見を取り繕える余裕がある。まだ全力を出していない感じが不気味さを加速させているというか……。
新垣 そうなんですよね。そして、彼女の持つ不気味さがUNという組織の底知れなさにつながっている。今回はまだその全容が明らかになっていませんが、それが判明する続編も制作されるといいな、そう思っています。
――最後に放送を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。
坂 もう「見てください!」の一言に尽きます。これまでに作品の中で張り巡らされてきた伏線が予想だにしない形で回収……されると言っていいのかな? もうこればっかりは口で説明できないのでその目で確かめてほしいです。あと一つだけ皆さんに言えることがあるなら、ネタバレには気をつけてほしいということですかね。
新垣 そうだね、ネタバレには本当に気をつけてほしい。できるだけリアルタイムで見てほしいし、それが難しければ無闇にインターネットを見ないようにしてもらいたいです。そうするだけの価値がある最終回に仕上がっていると思いますから。